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俳句だか川柳だかわからないけど十七文字の例のアレ
五月四日。つまりゴールデンウイークの三日目。私こと蓼(たで)丸(まる)多恵(たえ)は朝十一時だっていうのにベッドの上で惰眠を貪っていた。黄金の週間っていう甘美な響きに中てられて、午前三時までゲームをしていたせいだ。しかしどうだろう、世間では昨日から植田山ロープウェイの大事故...
有末ゆう
2022年6月7日読了時間: 12分
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クローズド・シャークル
九章 見えざる敵 目指す島が遠くに見えてきた。グレーンたちにとっては二度目となるその島への訪問は、しかし呑気で陽気だった半年前とはまるきり違って、ぴりぴりとした緊張感に満ちていた。 メグ島。アスィラム諸島の中央部に位置し、北はポロニア島、南はフィン島に挟まれた小さな島だ。農...
有末ゆう
2022年6月7日読了時間: 34分
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コーディネートはこーでねーと
☆やっぱり暑い十二日目 八月三日の快晴の空は、万人の毒気を抜き去ってしまいそうなくらいに青く澄んでいた。照り付ける日差しはひどくまぶしくて、公園の砂は真っ白に焼けていた。 こんなに暑いのに、子供は元気だなあ。 広場で遊ぶ妹たちの声と公園に響くセミの声をどこか遠くに聞きながら...
有末ゆう
2022年6月7日読了時間: 29分
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「リメンバースニッファー」
覚悟を決めるために、大きく息を吸い込んだ。 季節はまだ一月で、暖房のかかっていないこの部屋は随分と寒いはずなのだが、俺のセーターにはじっとりと不快な汗がにじんでいた。 こんな行為に及ぶのは全く本意ではない。 だが、長い人生を送る中で、本意ではないことをしなくてならない局面な...
ナカジマ杓子
2022年6月7日読了時間: 19分
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南洋日本町の治外法権
戦国から江戸時代初頭、日本人が東南アジアに交易に出て、現地に日本町を建てた。そして、日本町は現地勢力から治外法権を得た、と説明されることがある。そうした記述は、岩生成一の『南洋日本町の研究』に基づく。岩生は幕府が現地法による日本人処罰を委任したとしつつも【岩生(一九六六)三...
葱
2022年4月19日読了時間: 7分
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吾輩も一回生であった
吾輩も一回生であった。将来の見通しは当時も今もまだない。どうしてこうなったのか、頓と見当がつかぬ。何でも数学の先生Mの暴言で傷ついて、教室で一人膝を抱えてにゃあにゃあと泣いていたことだけは記憶している。(関西は一回生、関東は一年生という。) 目次...
葱
2022年4月19日読了時間: 14分
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南北朝漫談㊄ 楊愔伝・前篇
楊愔(いん)は宴席で血まみれになるまで殴られた。乾明元(五六〇)年二月、新帝即位一か月後のことであった。十人がかりで拘束され、太皇太后、皇太后、皇帝の前に引き出された。薄れゆく意識の中で、彼は自分のこれまでを思い出していた。(「彼は自分の~ていた」は葱の創作。その他、注のな...
葱
2022年4月8日読了時間: 3分
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南北朝漫談② 国防と革命
「国防と革命」だなんて、物騒な話だと思っただろうね。今回は、中国の南斉の初代皇帝蕭(しょう)道(どう)成(せい)という男が、国防を担う一武将から易姓革命(王朝の姓をかえて天命を改める、つまり国家を奪うこと)するまでの話をしよう。(注釈は基づいた史料を示しただけだから、読まな...
葱
2022年4月8日読了時間: 9分
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思い出の味(2020 11)
◎警告 今の食生活に不満のある方が読むとつらくなります。特に下宿生。 私は幼い時からおいしいものを食べて育ってきた。母親の仕事の関係で、祖父母宅でよく夕食を食べさせてもらった。母親は忙しいながらも、時間があれば料理をして、おいしい食事を作ってくれた。その記憶はいまも鮮やかに...
葱
2022年4月7日読了時間: 4分
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思い出の味(2021 7)
注意 現状の食生活に不満がある人が読むとつらくなります。 ・穴子丼 私は四歳ごろにウナギの骨がのどに刺さって、しばらくウナギが食べられなくなった。だから、母親はウナギの代わりに穴子で穴子丼を作ってくれた。細長く刻んだ穴子と炒り卵を、炊き立てのご飯に載せたものである。炒り卵は...
葱
2022年4月7日読了時間: 4分
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